病気をわかりやすく解説
痛風・高尿酸血症を
すぐ治療・検査したい
著作・監修
医学博士
大場啓一郎
痛風にはもう二度となりたくない‼
痛風がこんなにつらいものだと知らなかった
忘れられない痛風発作の症状
思い出すだけで足がうずく、つらかった痛風発作の思い出
仕事の付き合い、遅い帰宅時間や多忙なために、外食する機会が増えていたあの頃、それは、夜間に突然あなたに起こりました。
足の親指の付け根が急に痛くなり、だんだんと赤く腫れてきます。 足の指を曲げたり、足を動かすだけで痛みが走ります。 それは朝まで続きました。 足をついただけで痛みがあり、ただでさえ腫れあがっているので、革靴なんか履けません。
でも、あなたはその日どうしても会社に行かなければいけなかった。あなたは革靴をあきらめ、サンダルを履いて足を引きずりながら、出勤しました。すれ違う人たちから、あなたの引きずる足に注がれる視線、電車では若者に席をゆずってもらいました。
最初の数日間の痛みは忘れられません。上司や同僚は心配こそしてくれましたが、どこか冷たくされてしまいます。会社の産業医には「健康診断の結果をきちんと受け止めなかったからだ」そうバッサリ言われてしまいます。
そう、痛風がこんなにつらいものだと知らなかった。
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痛風にならないために、
何かちょっとでもできることはないの?
時間も余裕もないけど、痛風にはなりたくない
仕事が忙しく、生活習慣は乱れっぱなし、体重なんか増える一方です。
健康診断では、体重やお腹周り以外に、血圧、肝機能、中性脂肪も再検査するよう書かれてしまっています。
昼は外食が多く、丼物や麺類をついつい早食い、常に仕事に追われています。通勤時間も長く、帰宅もいつも夜遅く。お腹が減った状態で帰宅、途中のコンビニで買ったお弁当、遅い夕食をとってすぐに寝てしまう毎日が続きます。朝もギリギリまで寝て、コンビニで買ったパンを食べながら駅まで向かいます。今日の夜はお客さんとの付き合いで外食の予定となっています。
どう考えても不健康な生活、だけどあなたは忙しさのあまり、自分の健康に向き合う余裕がなくなってしまっています。
これでは、痛風以外の生活習慣病を発症してしまうのも、時間の問題です。遠くない未来に、動脈硬化性疾患(脳卒中、狭心症、心筋梗塞など)も発症してしまうかもしれません。後悔してももう遅い、なんてことになりかねません。
だけど、なんとかしたい。時間も余裕もないけど、何かちょっとでもできることをしたい。
そこで、痛風にならないために、あなたが失敗しないように、知っていれば損をしないこと、あなたでも気を付けられそうなことを集めました。よく患者さんから聞かれる疑問についても、いくつか記事にしています。このページの最後もご覧ください。
目次
痛風になってしまった!どうすればいい⁉
とりあえず、クリニックにいきましょう
そもそも、何科に行けばいいの?
糖尿病や高血圧は内科の医師が診ます。湿疹や皮膚のトラブルは皮膚科の医師が診ます。耳鳴りや難聴は耳鼻咽喉科の医師が診ます。
では、痛風・高尿酸血症は何科の医師が診ればいいのでしょうか?
何科にかかればいいか、こちらについては、
- 『痛風発作』『高尿酸血症』何科にかかれば良いの? スタッフブログ
もご覧ください。
結論だけ言わせて頂くと、痛風発作、高尿酸血症の患者さんを多く診ている医師にかかったほうがいいと思います。治療にはある程度の長い年月がかかる方も少なくありません。痛風発作、高尿酸血症に関してだけではありませんが、何でも話し合える相談できる医師を見つけておいてください。
この痛みどうすればいいの?
痛風の痛みを抑えるために飲む薬は?
いわゆる痛み止めを処方しますので、医師の説明通りに飲んでみましょう。
NSAIDs(エヌセエズ)と呼ばれる痛み止めを使用することが多いようです。NSAIDsは非ステロイド性抗炎症薬の英語名の頭文字で、炎症を抑える作用、解熱作用、痛みを抑える作用があります。胃が荒れたり、腎臓を傷めたりすることがありますので、医師や薬剤師の注意を守ってください。
その他にステロイドやコルヒチンなどの痛み止めを使うことがあります。
それぞれの薬には良い点、悪い点があります。痛風になってしまったあなたに合った薬を、医師が選択してくれるはずです。医師に相談してみましょう。
痛風、冷やすの?温めるの?
冷やしてください。痛風発作は関節炎です。関節の中で炎症が起こっています。炎症が起こると、そこには血流が増えて温度が上がり、赤くなってむくみが出てきます。同時に痛みが出てきます。冷やすことで拡張した血管をきゅっとしめて血流を減らすと炎症を抑えることができます。腫れや痛みを軽くすることができます。
以上の理由から、痛風発作の部位をできれば冷やすことをお勧めします。
もう二度と痛風になりたくない、
どうすればいいですか?
医師と今後の方針を話し合ってみましょう
あなたの尿酸値はいくつぐらいですか?
健康診断の結果、クリニックで行った血液検査の結果を確認してください。尿酸の数値が7.0mg/dL以上であれば、「高尿酸血症」と診断されます。
尿酸値が高い状態がずっと続いても、痛風にならない人もいます。痛風になりやすい体質や生活習慣・生活環境があり、痛風が発症してしまうかどうかが決まるようです。
ただし、すでに痛風を発症してしまったあなた、高尿酸血症は以前からあった可能性が高いので、治療に取り組まないと、再び痛風になってしまうと思われます。
高尿酸血症の治療方針、医師と相談してみましょう。
痛風・高尿酸血症の治療、
いくらぐらいかかる?
痛風・高尿酸血症ではじめて受診した時はどのくらい費用(料金)がかかる?
あなたが初めてクリニックを受診するのは、おそらく痛風になってしまった時だと思います。痛い足を引きずって受付を済ませ、問診表に記入をして、医師の診察を受けます。クリニックによって違うと思いますが、血液検査、尿検査、レントゲン撮影、超音波検査などをすることになるでしょう。痛み止めの処方もあるかもしれません。
そして、これらの検査や診察を受けて、費用(料金)はいくらぐらいかかるのでしょうか?保険証の自己負担割合が3割とすると、約5000~7000円と考えておけばいいのではないでしょうか。ほとんどのクリニックでは、お支払いは現金のみとなっているようです。受診する前にお財布の中身をしっかり確認しておきましょう。
もし痛み止めが処方された場合、薬局に処方箋を持って行って、薬をもらいます。その場合、さらにお金がかかります。クリニックと薬局での支払いを考えると、お財布の中に少なくとも1万円前後は準備しておきましょう。
薬をもらう定期的な通院には、どのくらい費用(料金)がかかる?
痛風の痛みが無事おさまって、普段通りの生活を取り戻したあなた、痛みが過ぎると高尿酸血症の治療のこともあわせて忘れてしまう、なんてことにならないようにしてくださいね。痛風がまた起きる可能性を忘れてはいけません。
前述しましたが、痛風が起こってしまったということは、尿酸値が高い状態がおそらくしばらく続いていたということです。治療や今後の生活習慣について、もう一度クリニックを受診し、医師と相談しましょう。
それでは、高尿酸血症の治療として、薬を定期的に内服する患者さんが、定期通院で毎回いくらぐらい費用(料金)がかかるのでしょうか?これは、高尿酸血症のみで通院しているのか、高血圧や高コレステロール血症など他の生活習慣病や病気があるかで大きく変わります。保険証の自己負担割合が3割とすると、約600~1500円と考えておけばよいのではないでしょうか。
薬局でお薬をもらう際に、費用(料金)がさらにかかりますので、お財布の中身にはもう少し余裕があったほうがいいと思います。繰り返しになりますが、お支払いは現金のみとしているところが多いので、現金を十分用意しておきましょう。
高尿酸血症、
放置するとなぜいけないのか?
痛風になってしまいますよー
尿酸値を下げる一番の理由は、痛風になりたくないから、と素直に答えてくれる患者さんも少なくありません。あの痛い思いはもう二度としたくない、足を引きずりながらの通勤は二度と経験したくない。あらためて、乱れた生活習慣が体に悪いことを思い知らされました。
ただし、高尿酸血症でも痛風を発症しない体質の人もいます。遺伝的につまり体質的に痛風を発症しないのか、人には言えない何か工夫をしているのかは知りませんが、うらやましい恵まれた人もいるのです。自分は痛風を発症しない体質なのか、高尿酸血症を放置してチャレンジしてみる、そんな患者さんもいらっしゃいますが、おすすめはできません。
動脈硬化が進んでしまうかも
高尿酸血症は動脈硬化と関連しているようです。痛風発作になったことがある高尿酸血症の人は、動脈硬化の進行を防ぐためにも、高尿酸血症の治療を含めた生活習慣・飲酒習慣の見直しが必要とされています。動脈硬化が進むと、脳卒中、心筋梗塞、狭心症などを発症してしまいます。突然命を落としかねません。
高尿酸血症がある人は、肥満、高血圧、高コレステロール血症、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を同時に持っている場合が多く、高尿酸血症の治療だけでは済まない場合も少なくありません。肥満による睡眠時無呼吸症候群で十分な睡眠が取れず、昼間のつらい眠気で苦しんでいる人もいます。いびきや昼間の眠気が心配な方はこちらから
尿管結石になってしまうことも
高尿酸血症が原因で、尿管結石を発症することもあります。腎臓でできた結石が尿管の狭いところで詰まってしまい、腰や背中に激痛が走ります。痛みに耐えられずに救急車を呼んでしまう方も少なくありません。尿管結石を何回も繰り返す人もいて、きちんとした治療が必要な人もいます。
尿管結石も嫌ですが、高尿酸血症を放置し過ぎると、尿を作っている腎臓が傷んでしまい、人工透析になってしまう人もいます。腎臓が傷んで腎臓の機能が低下してしまう状態を腎不全といいます。高尿酸血症のために腎臓の血管が傷み、腎不全となり尿が作れなくなってしまうのです。人工透析は週に数回数時間、病院に通院して血液をきれいにする治療です。人工透析が必要となるような腎不全では、尿がほぼ作れないので、尿として体の外に捨てたいものが捨てられない状態となってしまうのです。
高尿酸血症の治療にきちんと向き合えば、あなたは人工透析になることを避けられるかもしれません。しばらく通院ができていないあなた、勇気を出してクリニックに行きましょう。何でも相談できる話し合えるかかりつけ医を見つけておきましょう。
薬をきちんと飲み続けるとどうなるの?
痛風発作が起きにくくなります
尿酸値をしっかりコントロールする
もう二度と痛風になりたくない、そのために何ができるか?いつも忙しくて、食事にも気を使うことがなかなか難しいあなた、あなたでもできることがあります。
痛風が起こってしまったということは、高尿酸血症がある程度の期間続いていた何よりの証拠となります。尿酸値を6.0mg/dL以下に保ち、体中に降り積もった尿酸の結晶を長い時間をかけてゆっくり溶かしていきましょう。少なくとも数年はかかると言われています。
いずれ薬は飲まなくてはいけない、あなたの理解はおそらく正しいと思います。治療を先延ばししたことで、いつのまにか「もうすでに手遅れの状態」ということにならないようにしたいです。面倒くさいお気持ち、常に忙しくて自分の体に気をかけてられないあなたのお気持ちは十分わかります。ただ、今はちょっと頑張ってクリニックを受診してみましょう。
ただ、これも理解しておきたいです。薬だけに頼ってはいけないと思います。薬で尿酸値が下がって安心しているだけではよくありません。今まで送っていた生活習慣を見直す必要があります。特に食生活を振り返ってください。
かかりつけの医師と話し合ってくださいね。
定期的な通院、面倒くさい
なんでも気軽に相談できる医師を探そう
なんでも気軽に相談できる医師を探そう
ただでさえ忙しいあなたが継続して通院ができるように、あなたの事情を理解し対応してくれる、信頼できるかかりつけ医を見つけておきましょう。高血圧や他の生活習慣病があるようでしたら、かかりつけ医はなおさら必要です。
「面倒くさい」で通院をやめてしまい、手遅れになってしまっても、誰も責任を取ってくれません。治療が必要な病気があるのなら、お仕事や家庭のスケジュールを組みなおして、きちんと通院できるようにしなければいけません。
「もう二度と痛風になりたくない」そのためには、どうするべきなのか、信頼できるかかりつけ医と話し合ってください。きっとあなたにもできるはずです。