病気をわかりやすく解説
家庭での血圧測定の
正しい方法とは
【高血圧の方対象】
著作・監修
医学博士
大場啓一郎
なぜご家庭で血圧を測定しなければ
いけないのでしょうか?
できれば血圧なんて測定したくない
今まで血圧測ったことないのでわかりません
どうしても血圧測らなければいけませんか?
「血圧を測るなんて面倒、忙しくて測れません」
「そもそも血圧計を持っていません。どこで売ってるのか知りません」
「クリニックを受診するときに医師や看護師が測定してくれるので、それでいいんじゃないですか?」
健康診断で医師や保健師から、会社の産業医から、かかりつけの先生からご家庭で血圧を測定するように言われた事はありませんか?
なぜ血圧を測定するよう言われてしまったのでしょうか?
様々な理由があると思いますが、考えられる理由を挙げてみましょう。
日ごろの血圧の状態を知りたい
時と場所で血圧は変動します
あなたの本当の血圧の値はいくつぐらいなのでしょうか?
血圧を下げる薬を飲んでいる人も飲んでいない方も、日ごろの血圧の状態を把握することは大切です。
クリニックや病院、健康診断の際に血圧を測定すると、いつもより高くなっている方が多いのではないでしょうか?
いつもと状況が違い、緊張していたのかもしれません。それで血圧が上昇してしまっているのだと思います。
白衣高血圧などと言われることもあります。
いつもより血圧が高くなってしまっているので、それに合わせて血圧の薬を調整されてしまうと、薬が効きすぎて血圧が下がりすぎてしまうことになりかねません。
血圧の薬を適切に調整するためにも、日ごろの血圧を測定し、かかりつけの医師に診てもらいましょう。
そして、ご家庭では血圧が常に高く、クリニックや病院では血圧が逆に低い方もいます。
仮面高血圧などと言われることもあります。
本来ならば血圧を下げる薬を飲む必要があるのに、医師や看護師の前では血圧が低い状態となってしまい、高血圧を見抜けない場合もあります。
こういった時に、高血圧をきちんと診療するために、ご家庭で測ったの血圧の数値が大切となります。
血圧を下げる薬がちょうど良いのか
判断するため
どのぐらいの血圧ならば安心できるのか?
薬の効果をきちんとみておきましょう
健康診断などで血圧が高いことを指摘され、かかりつけのクリニックを受診し、ご家庭で血圧測定をするよう言われたあなた、
基準よりも血圧が高いとのことで血圧を下げる薬が開始されました。
血圧を下げる薬を内服すれば、血圧は下がり始めます。
では、血圧はどこまで下げるのが適切なのでしょうか?
血圧を下げる目標値(降圧目標値)は、人によって違います。
その人の年齢、持病や既往によって変わります。
かかりつけの先生と相談しましょう。
血圧を下げる薬を開始したのなら 実際ご家庭でどのぐらいの血圧なのか知る必要があります。
血圧が下がりすぎていないか、血圧がまだ高い状態なのか、血圧を下げる薬の効果をきちんと評価しなくてはいけません。
そのためにもご家庭で定期的に血圧を測定することが必要なのです。
血圧を下げる薬を微調整するため
人によって違う血圧の変化
あなたに合わせた薬を選ぶために、血圧を測定しましょう
ご家庭で血圧を測定し始めたあなた、
朝測定する血圧と夜測定する血圧、どちらが高いでしょうか?
1日の中で血圧は変動しますが、個人によって異なります。
朝の血圧が高い方、夜の血圧が高い方、様々な方がいます。
不規則な勤務時間・生活習慣によっても、血圧の値は大きく変動します。
医師は血圧を下げる薬を処方する際、患者さんの血圧の状態を考慮し、どの薬をどのタイミングで飲んでもらうか考えます。
血圧の薬は朝食後に飲むものと思い込んでいる方もいますが、1日1回夕食後に薬を飲んでいる患者さんも少なくありません。
血圧をきちんと下げるために、日ごろの血圧をかかりつけの先生にきちんと診てもらいましょう。
あなたの血圧測定の方法、
間違っていませんか?
「正しく血圧測定してみたら、実はあまり高くなかった」
「きちんと血圧測定してみたら、血圧を下げる薬が効きすぎていることがわかり、薬を減らすことができた」
「そもそも血圧測定の方法を教えてもらったことがない」
当院かかりつけの方には、ご家庭での血圧測定に関する簡単なガイダンスを行い、「家庭血圧測定について」という案内をお渡ししています。
こちらでは、「知らないと恥をかく血圧測定5つのポイント」を紹介し、ご自分の血圧の特徴を確認していきます。
知らないと恥をかく
血圧測定5つのポイント
血圧計
- どんなものでも構いません(上腕で測定できるものが好ましいとされています)。
測定環境・測定条件
背もたれつきの椅子に座り、足を組まずに1〜2分の安静後に測定する(のが理想的)。
- カフの位置を心臓の高さに合わせる
- 測定最中は会話をしない
- 飲酒、喫煙、カフェインの摂取は血圧に影響します
血圧を測る時間帯
基本的に朝・晩(就寝前)の1日2回
- 朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食前、朝の内服前、座位1〜2分安静後
- 晩(就寝前):座位1〜2分安静後
血圧測定回数
- 2回測定し平均をとる、もしくは3回測定して2回目と3回目の値を記録してください。複数回測定することが大切です。
血圧の記録方法
- 血圧手帳(当院でお渡しします)、スマホのアプリ、エクセルなどの表計算ソフトなど何でも構いません。来院した際に当院スタッフが内容を確認できるようご準備ください。
当院スタッフがわかりやすくご説明いたします。
心配ありません。
あなたの血圧の特徴を教えてください
- 朝と晩ではどちらの方が血圧が高いでしょうか?
- 下の血圧(拡張期血圧)はどうでしょうか?
- 寝不足やストレスを感じている時の血圧はどうでしょうか?
- 血圧は季節の変化や気温の変化に影響を受けていますか?
- 例年と比較して血圧の変化はありますか?
- 体重が減って血圧も下がりましたか?
- 飲酒量が減って血圧も下がりましたか?
- 食事に気を遣うようになってから血圧も下がりましたか?
話し合い相談できる「かかりつけ医」
「治療法を押し付けない」
「少ない薬での血圧管理」
ご家庭で血圧測定した結果があればお持ちください。高血圧は放置すると、心筋梗塞、狭心症、脳卒中などを発症しやすくなります。
迷わないでまずは早めに受診をオススメしています。